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災害用トイレの備蓄数は法人で何個必要?計算方法から種類・管理まで徹底解説

  • 5月15日
  • 読了時間: 11分

「災害用トイレの備蓄は何個必要なのか」。この疑問を抱えている企業の防災担当者は少なくないでしょう。水や食料の備蓄には着手していても、トイレの準備は後回しになりがちではないでしょうか。しかし過去の大規模災害では、食料よりもトイレのほうが深刻な問題になったという調査結果が数多く報告されています。


そこで本記事では必要な備蓄数の計算方法から、ガイドラインの根拠や種類の選び方、保管・管理のコツまでを網羅的に解説。自社の防災対策を見直す第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

 

なぜ企業に災害用トイレの備蓄が必要なのか

企業の防災備蓄といえば、飲料水や非常食を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかしトイレの問題も同じように重要であり、ここでは災害時にトイレが使えなくなる背景と、その深刻さを確認します。

 

断水・排水管損傷・停電で水洗トイレが使えなくなる

大規模な地震が発生すると、上下水道の損傷によって水洗トイレが機能しなくなるケースがあります。断水だけであれば溜め置きの水で流せると考える方もいるでしょう。


ところが排水管自体が破損している場合、水を流すと汚水が逆流する危険があるのです。集合住宅やオフィスビルでは、上階で流した汚水が下階にあふれ出す被害も報告されています。そのため災害発生直後は、安全確認が取れるまでトイレの使用を控えるのが原則です。こうした事態に備えて、水を使わずに処理できる災害用トイレの備蓄が欠かせません。


過去の災害から見るトイレ問題の深刻さ

過去の大規模災害では、トイレの問題が繰り返し発生してきました。2016年の熊本地震では、発災当日に仮設トイレが設置された避難所は全体の1割以下だったと報告されています。すべての避難所に行き届くまでには数日以上を要したのが実情でした。

 

東日本大震災でも同様の課題が浮き彫りになっています。仮設トイレの到着に4日以上かかった自治体のうち、14%は1か月以上も設置に時間がかかりました。企業の事業所においても「避難所に行けばトイレが使える」という想定は危険だといえるでしょう。自社内でトイレ環境を確保する自助の姿勢が不可欠なのです。

 

トイレ不足が引き起こす健康被害と災害関連死

災害時のトイレ不足は衛生面だけの問題にとどまりません。不衛生なトイレの使用を避けるために、水分摂取や食事を控える被災者が多数発生することが知られています。その結果、脱水症状やエコノミークラス症候群といった深刻な健康被害につながるおそれがあるのです。

 

実際に新潟県中越地震では「トイレが不安で水分を控えた」と回答した人が30%を超えたという調査も。こうしたトイレ起因の体調悪化は災害関連死の一因ともなっており、企業が従業員の命を守るうえでトイレ備蓄は最優先の対策といえるでしょう。


災害用トイレの備蓄数はどう計算する?法人向けの算出方法

ここでは具体的な備蓄数の計算に進みましょう。法人向けの算出では家庭とは異なるポイントがあるため、順を追って解説します。

 

基本の計算式は「人数×1日5回×備蓄日数」

災害用トイレの備蓄数を求める基本式は非常にシンプルです。「利用人数×1日のトイレ使用回数(5回)×備蓄日数」で算出できます。

 

たとえば従業員80人の事業所で3日分を備蓄する場合は80人×5回×3日=1,200回分となり、7日分を想定するなら80人×5回×7日=2,800回分が必要です。

 

最低ラインの3日分と推奨の7日分

帰宅困難者対策としては、発災から72時間(3日間)分の備蓄が最低ラインとされています。この72時間は人命救助が優先される期間であり、外部からの支援物資が届きにくいためです。

 

一方で南海トラフ巨大地震のような大規模災害を想定すると、上下水道の復旧には数週間から1か月以上かかるケースもあり得ます。経済産業省も1人あたり35回分(7日分)の備蓄を推奨しているため、余裕を持って7日分を目標にするのが望ましいでしょう。

 

帰宅困難者・来訪者の上乗せ分(+10%)を忘れずに

法人の備蓄で見落としがちなのが、従業員以外の利用者の存在です。災害発生時にオフィスにいる来訪者や取引先の担当者も帰宅困難になる可能性があります。

 

そのため備蓄数には従業員数に加えて10%程度の上乗せが推奨されています。先ほどの80人の事業所であれば88人分で計算するイメージです。来客が多い業種やフロアでは、さらに余裕を持たせるとよいでしょう。

 

備蓄日数の判断基準

備蓄日数を3日にするか7日にするかは、事業所の立地条件によって判断が変わります。ハザードマップで浸水リスクや液状化リスクが高いエリアに立地している場合は、ライフラインの復旧が長引く可能性が高いといえるでしょう。

 

また高層ビルのオフィスでは、災害時にエレベーターが停止して物資搬入が困難になるおそれがあります。こうした立地特性を踏まえ、自社のリスクに応じて備蓄日数を設定することが大切です。自治体の防災マニュアルに備蓄日数の指定がある場合は、その規定に従うようにしてください。

 

災害用トイレの種類と法人に適した選び方

備蓄数の目安がわかったら、次はどの種類の災害用トイレを選ぶかを検討する段階です。法人で利用される主な災害用トイレは大きく4つのタイプに分けられます。それぞれの特徴を理解し、自社の環境に合った製品を選びましょう。

 

携帯トイレ(便袋+凝固剤タイプ)は備蓄の基本

携帯トイレは既存の洋式便器に専用の便袋をかぶせて使用し、凝固剤で排泄物を固めて処理するタイプです。水も電気も不要で、災害発生直後からすぐに使えるのが最大の特長でしょう。

 

コンパクトで保管スペースを取らず、1回あたりのコストも比較的安価なため、法人の大量備蓄に最も適しています。使用期限が10年以上の製品もあり、長期保存にも対応可能です。企業がまず優先的に備蓄すべき基本アイテムといえるでしょう。

 

簡易トイレはトイレ設備が使えないときに活躍

簡易トイレは段ボールやプラスチック製の組み立て式便器と、便袋・凝固剤がセットになった製品です。建物内のトイレ設備が損壊して使えない場合や、屋外での使用が必要なときに役立ちます。

 

携帯トイレと比べて保管スペースは取りますが、便器がない場所でもトイレ環境を確保できるメリットは大きいでしょう。倉庫や駐車場など、既存のトイレから離れた場所で従業員が待機する可能性がある事業所では、一定数の備蓄を検討するべきです。

 

マンホールトイレは自治体と連携して整備するタイプ

マンホールトイレは下水道のマンホール上に便器やテントを設置して使用する方式です。排泄物を下水道に直接流せるため、通常の水洗トイレに近い感覚で衛生的に利用できます。

 

ただし利用には下水道管が正常に機能していることが前提となるため、企業単独での備蓄には向きません。自社の事業所周辺に自治体が整備したマンホールトイレがあるかどうかを確認し、補助的な手段として活用する位置づけが適切です。


仮設トイレ・自己処理型トイレは大規模施設向け

工場や物流倉庫など大規模な事業所では、仮設トイレや自己処理型トイレの導入も選択肢に入ります。仮設トイレは工事現場で見かけるタンク式の完成型トイレで、多人数が長期間使用する場面に向いています。

 

自己処理型トイレは微生物による分解やおが屑との混合で排泄物を処理する高機能なタイプです。インフラに依存せず単独で稼働できるメリットがある一方で、導入コストが高くなる点には注意が必要でしょう。従業員数や事業所の規模に応じて、携帯トイレとの併用を検討してみてください。

 

法人規模・拠点環境に合ったタイプの選び方まとめ

多くの法人にとっては、携帯トイレを必要数確保することが最優先の対策となります。既存の洋式トイレがあるオフィスであれば、携帯トイレだけで基本的な備えは完了するでしょう。

 

そのうえで、便器が使えなくなるリスクがある拠点では簡易トイレを追加。大規模施設ではさらに仮設トイレの手配ルートも確保しておくと安心です。複数タイプを組み合わせる「多層防御」の考え方で、あらゆる状況に対応できる体制を整えましょう。


備蓄品の保管・管理で失敗しないためのポイント

必要な数量を購入しただけで安心してしまうケースは少なくありません。しかし防災備蓄は保管と管理を継続してこそ意味を持ちます。ここでは災害用トイレの保管・管理における実務的な注意点を解説します。

 

使用期限の管理とローリングストックの活用

災害用トイレに使われる凝固剤には使用期限が設定されています。期限が切れると凝固性能が低下し、いざというときに正しく機能しないおそれがあるのです。

 

製品によって保存期間は5年から15年程度と幅があるため、購入時に必ず確認しましょう。年に1回は期限チェックの日を設け、期限が近いものから防災訓練で消費するローリングストックの運用がおすすめです。

 

保管スペースの確保と分散備蓄の考え方

法人規模の備蓄は相当な物量になるため、保管場所の確保が課題となりがちです。特に都心部のオフィスでは収納スペースが限られるケースが多いでしょう。

 

こうした場合は、フロアごとに少量ずつ分散して保管する方法が有効です。高層ビルではエレベーター停止時の搬送リスクを考慮し、各階に一定量を配置しておくと災害時の対応がスムーズになります。会議室や休憩室の棚下など、普段は使わないスペースを活用する工夫も取り入れてみてください。


使用済み汚物袋の保管場所と廃棄ルールを事前に決める

見落とされがちなのが、使用済みの汚物袋をどこに保管し、どう廃棄するかという問題です。災害時はゴミ収集が止まるため、汚物袋が事業所内に蓄積していくことになります。

 

1人1日5回分の使用済み袋は重量にすると約1.5kgから2.5kgに達するとされています。数十人規模の事業所であっても3日間では膨大な量になるでしょう。雨に濡れにくく、かつ換気が確保できる保管場所をあらかじめ決めておくことが重要です。防臭袋の併用や消臭剤の備蓄も忘れずに手配しましょう。


トイレと一緒に備蓄しておきたい衛生用品リスト

災害用トイレの備蓄と合わせて、関連する衛生用品も準備しておく必要があります。具体的にはトイレットペーパーや除菌シート(ウェットティッシュ)、使い捨て手袋などが挙げられます。加えて消臭スプレーやゴミ袋(汚物袋用の外袋)も準備しておくとよいでしょう。

 

特にトイレットペーパーは日常的に消費されるため、備蓄分として別途確保しておくべきです。長尺タイプやコンパクト巻きの製品を選ぶと、保管スペースの節約につながります。


災害用トイレの備蓄を社内に定着させるための取り組み

備蓄品を揃えるだけでは、いざ災害が発生したときにスムーズな運用は難しいものです。日頃から従業員への周知と訓練を行い、トイレ備蓄を「使える状態」にしておくことが大切でしょう。


防災訓練で実際に災害用トイレを使ってみる

多くの従業員にとって、携帯トイレや簡易トイレの使い方は未知の体験です。便袋のセット方法や凝固剤の振りかけ方を防災訓練の中で実際に試しておくと、災害時の戸惑いを減らせます。

 

訓練時にはローリングストックで入れ替え対象となった期限間近の製品を使うのが効率的です。実体験を通じて使い勝手を把握することで、備蓄する製品の見直しにもつながるでしょう。


防災マニュアルにトイレ運用ルールを明記する

企業の防災マニュアルには、トイレに関する運用ルールを具体的に記載しておきましょう。「発災後はトイレの水を流さない」「携帯トイレの設置場所と使い方」「使用済み袋の保管場所」などの項目が該当します。

 

マニュアルにルールが書かれていないと、災害時に各自が判断に迷い、混乱が生じかねません。配管の安全確認が取れるまでの初動対応手順も合わせて明記しておくと安心です。


男女比・要配慮者への対応も忘れずに

トイレの備蓄計画では、利用者の属性にも配慮が必要です。内閣府のガイドラインでは、トイレの設置比率として女性用対男性用を3対1にすることが理想とされています。

 

また高齢の従業員や障がいのある従業員がいる場合は、バリアフリー対応の簡易トイレやプライバシー確保用のテントなども検討しましょう。誰もが安心して使えるトイレ環境を整備することが、企業としての信頼にもつながります。

 

法人の災害用トイレ備蓄が従業員を守る

災害用トイレの備蓄は、企業が従業員の命と健康を守るために欠かせない防災対策です。備蓄数の基本計算式は「従業員数×1.1(帰宅困難者分)×1日5回×備蓄日数」で求められます。最低ラインは3日分ですが、南海トラフ巨大地震など大規模災害を想定するなら7日分の確保が望ましいでしょう。


トイレの種類は、コンパクトで大量備蓄に向く携帯トイレを基本とし、拠点のリスクに応じて簡易トイレや仮設トイレを組み合わせるのが効果的です。購入後は使用期限の定期チェックや分散備蓄の配置計画、使用済み汚物袋の保管場所の指定といった管理体制の整備も忘れてはなりません。


さらに防災訓練での実使用体験やマニュアルへのルール記載を通じて、備蓄を「使える状態」に維持することが重要です。内閣府ガイドラインや帰宅困難者対策条例の根拠を押さえたうえで、自社の規模と立地に合った備蓄計画を策定し、今日から行動に移しましょう。災害用トイレ備蓄に関わる疑問や興味があれば、ぜひPREPROにお問合せください。


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