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法人向け防災セット導入ガイド!選び方から補助金活用まで解説

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  • 2024年12月3日
  • 読了時間: 14分

更新日:2025年12月3日

法人向け防災セット

「どんな防災セットを選べばよいかわからない」――企業の防災担当者として、このようなお悩みを抱えていませんか。従業員の安全を守り、災害時にも事業を継続するためには、会社として防災セットを十分に備蓄しておくことが不可欠です。結論から言えば、従業員が少なくとも3日間はオフィスで過ごせるよう、水・食料・トイレ等を3日分備えておくことが肝心です。そして、導入コストも補助金や税制優遇を活用すれば抑えられます。本記事では、企業が防災セットを導入する意義や具体的な選定基準、導入ステップ、さらに導入後の社員教育・点検方法までを詳しく解説します。これを読めば、貴社に最適な法人向け防災セットの揃え方が明確になり、安全と事業継続の両立に一歩踏み出せるでしょう。


法人向け防災セットの必要性

まずは、なぜ企業に防災セットが必要なのか、その背景とメリットを確認しましょう。


法人の防災義務とリスク管理

日本では地震や台風などの自然災害が頻発しており、企業においても従業員の安全確保と事業継続は重要な課題です。そのため、企業には従業員のための一定の防災備蓄を整えることが求められています。例えば東京都では、東日本大震災の教訓を踏まえた「東京都帰宅困難者対策条例」により、従業員が事業所内に少なくとも3日間滞在できる備蓄を確保することが企業の努力義務とされています。この努力義務は法的強制力こそありませんが、災害時に交通機関が停止し帰宅困難になる社員を支える備えがないと、従業員の健康や安全に深刻な影響が及び、企業の責任問題にもなりかねません。


また、企業は「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)」を策定し、有事でも事業を継続・早期復旧することが強く推奨されています。BCPの中でも従業員の安全確保は最も基本となる要素であり、防災セットの備蓄はBCP対策の要といえます。平時から備蓄品を用意し訓練しておくことで、災害発生時の初動対応が迅速になり、被害を最小限に抑えることができます。企業にとって、防災セットの整備はリスク管理上、避けて通れない取り組みなのです。


防災セット導入のメリット

防災セットを導入・備蓄することは、義務感だけでなく企業に様々なメリットをもたらします。主なメリットを以下にまとめます。


従業員の安全確保と安心感

備蓄された防災セットによって、社員は「会社に守られている」という安心感を得ることができます。非常時にも食料や水の心配がない環境は、平時から従業員の災害への不安を軽減し、会社への信頼感や士気の向上にもつながります。


事業継続性の向上と損失軽減

防災対策が整っていれば、災害直後も必要最低限の業務活動を維持しやすくなります。例えば、帰宅困難な社員がオフィスに留まっても備蓄品があれば安全に過ごせ、業務中断による損失を減らせます。備えがあることで復旧までの時間を短縮し、早期に事業を再開できる可能性も高まります。


取引先・社会からの信頼向上

災害対策に真剣に取り組んでいる企業は、取引先や顧客からの信頼感も高まります。BCPが整備されていれば、重要顧客から「非常時でも取引を継続できる企業」と評価され、競合他社との差別化にもなります。また、地域社会や行政からも防災意識の高い企業として評価されるでしょう。


CSR・SDGsへの貢献

従業員や地域の安全に配慮することは、企業の社会的責任(CSR)を果たすことにもつながります。社内の防災力強化は、SDGs(持続可能な開発目標)の「住み続けられるまちづくりを実現しよう(目標11)」や「産業と技術革新の基盤を作ろう(目標9)」への貢献とも言えます。防災セットの導入によって、企業は社会全体のレジリエンス(回復力)向上に寄与し、持続可能な経営の一環としてアピールできるのです。


防災セット導入計画と選定のステップ

防災セット導入計画と選定のステップ

では、実際に企業で防災セットを導入するにはどのように進めればよいでしょうか。ここでは、導入までの基本的なステップを順を追って解説します。


ステップ1:必要な備蓄量とニーズの把握

まず、自社で必要となる防災セットの規模を把握します。従業員の人数を正確に把握し、想定される来訪者(お客様や取引先など)も含めて計算しましょう。目安として、在籍社員数+約1割を来客分として見込んでおくと安心です。続いて、従業員一人あたりに必要な備蓄量を算出します。一般的には以下のように1人あたり3日分の水や食料を備蓄することが推奨されています。


品目

目安量

備考(計算根拠など)

1人 9リットル

1日3リットル × 3日分

食料

1人 9食分

1日3食 × 3日分

毛布(ブランケット)

1人 1枚

防寒用


上記は最低限の目安です。このほか、トイレや衛生用品なども人数に応じて必要になります。従業員数にこれらの数量を掛け合わせれば、会社全体で準備すべき備蓄品の総量が見えてきます。例えば従業員が100人いる場合、水は9リットル×100人=900リットル(500mlペットボトルなら約1,800本)と膨大な量になります。このように必要な備蓄量を算出し、それを保管するスペースや方法についても検討を始めましょう。


ステップ2:防災セット内容の検討と選定基準

次に、備蓄する防災セットの具体的な内容を検討します。防災セットの中身は、大きく分けて各個人に配布・割り当てる備蓄品と、みんなで共有して使う備蓄品の2種類があります。前者は水や食料、毛布など各人が直接使うもの、後者は簡易トイレや医薬品、照明・通信機器など共同で使用するものです。まずは各人に必要な最低限の備蓄品を揃え、それから共有物資を充実させるとよいでしょう。


具体的な防災セットの内容として、以下のようなものが挙げられます。


品目

目安量

備考(推奨仕様・用途など)

保存水

1人 9 L

5年以上保存可能な防災用飲料水が望ましい

非常食

1人 9食分

アルファ米、乾パン、缶詰、栄養バー等(5〜7年保存)

毛布

1人 1枚

防寒用ブランケット

簡易トイレ

1人 15回分

1日5回×3日分(凝固剤・汚物袋セット)

衛生用品

トイレットペーパー、ティッシュ、生理用品、マスク、消毒液など

敷物

人数に応じたビニールシートなど(床に座る場合を想定)

照明・通信

懐中電灯、携帯ラジオ、予備電池(ラジオは情報収集用)

救急用品

救急箱、常備薬、絆創膏、包帯、消毒薬など医薬品


上記は一般的なリストですが、自社の状況に応じて必要なものを追加・調整してください。例えば、眼鏡や常用薬が必要な社員がいれば予備を用意する、ビル倒壊に備えてヘルメットや軍手を加える等が考えられます。また、非常食は栄養バランスも考慮し、アルファ米(湯や水を入れて戻すご飯)だけでなく、そのまま食べられるパンやビスケット、温めずに食べられるレトルト食品など種類を分散させると良いでしょう。アレルギー対応食やハラル対応食が含まれていると来客用にも安心です。水は5年〜7年保存可能な市販の防災用飲料水を選び、500ml程度のボトルに小分けされていると配布・運搬が容易です。


防災セットを選ぶ際の基準としては、保存期間の長さ(できれば5年以上)、品質(栄養価や使い勝手)、コンパクトさ(限られたスペースで保管できるか)などが挙げられます。企業向けには、防災用品メーカーや専門業者がセット商品を販売しています。価格と内容を比較検討し、自社に必要なものが過不足なく揃うセットを選ぶと良いでしょう。また、一度に全社員分を購入するのが難しい場合は、優先度の高いもの(水・食料など)から段階的に揃える方法もあります。


ステップ3:予算計画と社内稟議の準備

さらに、防災セット導入に必要な予算を算出し、社内で承認を得るステップです。ステップ1で算出した必要備蓄量に基づき、見積もりを取りましょう。防災セットの価格は内容によって様々ですが、1人分あたり数千円〜1万円程度が目安です。例えば、1人1万円のセットを100人分用意する場合、初期費用は100万円になります。しかし、備蓄品の多くは賞味期限・使用期限が5年程度あるため、5年間のコストと考えれば1年あたり20万円、社員1人あたりでは年2,000円程度の負担です(月額にすればわずか数百円です)。この程度の費用であれば、非常時に事業を守れる「保険」として十分に投資対効果が見込めると言えます。


社内稟議書を作成する際は、単に費用を提示するだけでなく、防災セット導入の必要性(前章で述べた法的背景やリスク)、従業員の安全確保や事業継続に資すること、導入によるメリットを盛り込みましょう。例えば「東京では3日分の備蓄が努力義務となっている」「競合他社も防災対策を強化している」「従業員の安心が生産性向上につながる」といった点を根拠に挙げると、経営層にも理解されやすくなります。また、後述する補助金や税制優遇を活用すれば実質コストを削減できることも強調しましょう。これらのポイントを盛り込むことで、社内での合意形成がスムーズになります。


ステップ4:補助金・税制優遇の活用

最後に、国や自治体が提供する補助金・助成金や税制優遇措置を調査し、活用できるものがないか確認します。中小企業向けには、防災対策を後押しする公的支援制度がいくつか存在します。例えば、中小企業庁の「事業継続力強化計画」という制度で認定を受けると、防災関連設備の導入費用について中小企業防災・減災投資促進税制を利用でき、取得費用の一部を特別償却(通常の減価償却とは別に一定割合を一括償却)することで税負担を軽減できます。また、東京都では中小企業BCP策定促進助成金といった制度があり、事業継続計画(BCP)を策定し一定の条件を満たせば、防災備蓄品や発電機・通信機器の導入費用に対し数百万円規模の助成が受けられるケースがあります。


自治体レベルでも様々な支援があります。例えば東京都千代田区では、区内中小企業が従業員用の備蓄品を購入する際、費用の3分の2(上限10万円)を助成する制度があります。このように、自社が所在する地域の自治体や商工会議所などが提供する防災関連の補助金情報をチェックしましょう。補助金は公募期間や予算が限られている場合が多いので、早めに情報収集し、要件を満たすものがあれば積極的に申請することをおすすめします。助成金・補助金は基本的に返済不要で会社の負担を直接軽減してくれるため、利用できれば大きな助けとなります。


税制面でも、防災用品の購入費は経費計上できる上、先述の特別償却制度のように節税メリットを享受できる制度があります。自社が条件を満たしそうな優遇策がないか、専門家や行政機関に相談するとよいでしょう。


防災セット導入後の社員教育と備蓄管理

防災セット導入後の社員教育と備蓄管理

防災セットを導入して終わりではありません。社員に正しく使ってもらい、備蓄品を常に有効な状態に保つための運用も重要です。ここでは、導入後に必要な社員教育と備蓄品の管理について説明します。


防災教育と訓練の実施

防災セットを配備したら、社員への教育・訓練を定期的に行いましょう。非常時に全員が適切に行動できるよう、防災マニュアルを整備し、「災害発生時の行動手順」や「備蓄品の場所・使い方」を周知徹底することが大切です。具体的には、年に1〜2回程度の防災訓練(避難訓練)を実施し、その中で備蓄品を活用するシナリオを盛り込むとよいでしょう。例えば、非常食を実際に試食してみたり、簡易トイレの組み立て・使用方法を体験することで、社員が非常時のイメージをつかみやすくなります。


また、社内に防災担当者や防災士(防災に関する知識を持つ民間資格保持者)を配置しておくことも有効です。防災士の有資格者がいれば、備蓄品の選定や防災訓練の企画に専門知見を活かせます。中堅企業であれば、総務や人事部門内に防災チームを設け、平時から社員への啓発活動を行うのも良いでしょう。社内報や掲示板で防災の豆知識を共有したり、毎年9月1日の「防災の日」に合わせて防災キャンペーンを実施するなど、社員の防災意識を継続的に高める取り組みが効果的です。


備蓄品の定期点検と更新サイクル

備蓄した防災セットが常に万全に使える状態であるよう、定期的な点検と消耗・期限切れ品の交換を行う必要があります。一般的には年に1回程度、備蓄品の総点検を実施します。点検項目の例を挙げると、以下の通りです。


点検項目

チェック内容・対応

賞味期限・使用期限の確認

非常食・飲料水・医薬品などの期限が近づいていないか確認し、迫っているものは計画的に入れ替える

物品の状態確認

包装の破損・劣化の有無や、懐中電灯・ラジオの動作(電池切れ・液漏れ含む)を点検する

数量の補充

災害対応や訓練で使用した備蓄品を補填したか確認し、社員数の増減に応じてリストを更新する


非常食や水は賞味期限の数ヶ月前を目安に新しいものと交換し、古いものは社員に提供して試食会を開いたり、地域の防災イベントに寄付するなど、有効活用すると廃棄ロスを減らせます。電池類は長期保存可能な乾電池を採用しつつ、念のため数年ごとに交換しましょう。備蓄品の一覧と各品目の期限を管理シートや表計算ソフトで管理し、期限が近づいたものは自動で通知されるような仕組みを作ると便利です。


また、備蓄スペースの環境も定期的に確認します。直射日光が当たっていないか、湿度や温度が高すぎないか、害虫やネズミの被害がないかなど、保管環境を適切に維持しましょう。もし自社内で十分な保管スペースが取れない場合は、外部の倉庫や防災備蓄サービスの利用も検討できます。最近では、防災用品を専門の倉庫で預かり、期限が来たら自動的に入れ替えてくれるサブスクリプション型のサービスも登場しています。費用はかかりますが、備蓄品管理の手間を大幅に減らすことができるでしょう。


導入効果の事例と費用対効果(ROI)試算

導入効果の事例と費用対効果(ROI)試算

最後に、防災セット導入によって得られる効果を、具体的な事例と費用対効果のシミュレーションから確認しましょう。


導入事例:防災セットが社内で役立ったケース

実際に防災セットを導入した企業のエピソードを紹介します。東京都内のある中堅IT企業A社では、2019年に全社員分の防災セットを導入しました。その約1年後、首都圏を強い地震が襲い交通機関が麻痺した際、A社では約200名の社員がオフィスに泊まり込みとなりました。しかし、同社は3日分の食料・水・寝具を含む防災セットを事前に各フロアに備えていたため、社員全員が安全かつ健康に待機することができました。簡易トイレも十分に用意されていたため衛生面の問題も起きず、一部の社員は非常用電源の下で重要なサーバー監視業務を続行できました。その結果、翌日にはほぼ平常通り業務を再開でき、取引先への影響も最小限で済みました。A社の防災担当者は「防災セットへの投資が事業継続に大きく貢献した」と実感しています。


一方、近隣の企業B社では、最低限の備蓄しかなく社員に十分な食料を提供できませんでした。このため多くの社員が徒歩で深夜に帰宅せざるを得ず、翌日は相当数の社員が出社できない事態となりました。B社の例からも、防災セットを含む事前の備えがいかに重要かが分かります。


防災セット導入の費用対効果シミュレーション

防災セット導入の費用対効果シミュレーション

次に、防災セット導入の費用対効果を試算してみましょう。仮に従業員100名規模の企業で、1日の操業停止による損失が1,000万円発生すると想定します。大地震によって3日間事業が止まれば、累計で3,000万円の損失となります。一方、この企業が100名分の防災セットを整備する費用は約100万円(1人当たり1万円×100名)です。防災セットの備えによって、もし災害から2日目以降に1日でも早く事業を再開できれば、1,000万円の損失を防げる計算になります。初期投資の100万円に対して1,000万円の損失を回避できるため、定量的に見てもROI(投資利益率)は非常に高いと言えます。


さらに、人的被害を防ぎ企業の信用失墜を避けられる効果は金額以上に重要です。社員の命を守り、事業を早期復旧できれば、取引先からの信頼継続や倒産リスクの低減といった長期的な利益につながります。このように、防災セットへの投資は企業にとって「万一の際の保険」として極めて費用対効果の高い施策なのです。


防災セットで企業の安全と事業継続を支える

法人向け防災セットの重要性と導入方法について解説してきました。従業員の安全を守り、災害時にも事業を継続するためには、最低3日分の備蓄品を社内に準備しておくことが鍵となります。その際には、国や自治体の補助金・助成金や税制優遇を上手に活用し、コスト負担を抑えることも可能です。


防災セット導入は決して難しいものではなく、ステップを踏んで計画・実行すれば、着実に社内の防災力を高めることができます。導入後も定期的な教育訓練と点検・更新を行うことで、非常時に確実に機能する備えとなります。


「備えあれば憂いなし」という言葉の通り、平時の備えがあれば有事の混乱を大きく減らせます。社員の命と会社の未来を守るために、ぜひこの機会に法人向け防災セットの導入・充実に取り組んでみてください。それが結果的に貴社のBCP強化やCSRの推進にもつながり、安心して事業を継続できる土台となるでしょう。

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