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企業に必要な防災グッズとは?BCP対策と従業員を守る備蓄品の選び方を解説【2025年版】

  • 2025年12月3日
  • 読了時間: 12分
企業に必要な防災グッズ

「うちの会社にも防災グッズは必要なのか」「何をどれくらい用意すればいいのか」「コストはどのくらいかかるのか」


このような疑問をお持ちの企業の総務担当者や経営者の方は多いのではないでしょうか。近年、地震や台風などの自然災害が頻発し、企業の防災対策への関心が高まっています。しかし、いざ防災グッズを揃えようとしても、何から手をつければよいか分からないという声もよく聞かれます。


そこで本記事では、企業にとっての防災グッズの必要性から、具体的な選び方、管理方法まで、防災対策の全体像を分かりやすく解説します。


企業に防災グッズが必要な3つの理由

企業が防災グッズを備えることは、もはや必須事項となっています。その背景には、法的な義務、事業継続の観点、そして企業の社会的責任という3つの理由があります。


帰宅困難者対策条例と企業の責任

東京都をはじめ、複数の自治体で帰宅困難者対策条例が施行されています。この条例では、企業に対して従業員の一斉帰宅抑制と、3日分の水や食料の備蓄が努力義務として定められています。


具体的には、従業員1人あたり1日3リットルの水と、9食分の食料を備蓄することを推奨。条例違反による直接的な罰則はないものの、備蓄不足により従業員に被害が生じた場合、安全配慮義務違反として民事責任を問われる可能性があります。


災害時のBCP対策と早期復旧

BCPとは、Business Continuity Planの略で、日本語では事業継続計画と呼ばれます。災害が発生しても、重要な事業を中断させない、あるいは中断しても早期に復旧させるための計画のことです。


防災グッズの備蓄は、このBCPの重要な要素となります。災害直後の混乱期において、従業員が職場に留まることができる環境を整えることで、事業の早期復旧が可能になります。


防災グッズへの投資は、事業継続のための保険とも考えることができるのです。


企業の社会的責任とリスク管理

企業には、従業員の生命と健康を守る安全配慮義務があります。これは労働契約法で定められた法的義務であり、違反した場合には損害賠償責任が発生します。


災害時に適切な備蓄がなかったために従業員が健康被害を受けた場合、企業は重大な責任を問われることになります。また、従業員の家族からの信頼を失い、企業イメージの低下にもつながりかねません。



企業が揃えるべき防災グッズリスト

企業が揃えるべき防災グッズリスト

企業が備蓄すべき防災グッズは多岐にわたりますが、優先順位をつけて計画的に揃えることが重要です。ここでは、5つのカテゴリーに分けて、必要な防災グッズを詳しく解説します。


水・食料の必要量と選定基準

人間が生命を維持するために最も重要なのが水と食料です。災害発生から72時間は、外部からの支援が期待できない可能性が高いため、最低3日分の備蓄が必要とされています。


水は1人1日あたり3リットルが目安です。飲料用として2リットル、調理や衛生用として1リットルを想定しています。100名の企業であれば、3日分で900リットルの水が必要になります。ペットボトルで備蓄する場合は、500mlボトルと2リットルボトルを組み合わせると、配布と管理がしやすくなるでしょう。


食料については、1人1日3食として9食分の備蓄が基本です。選定基準としては、調理不要で長期保存が可能なものを選びます。アルファ米、缶詰パン、栄養補助食品などが代表的です。アレルギー対応食も一定割合で用意しておくことが望ましいでしょう。


トイレ・感染症対策の重要性

災害時に最も深刻な問題の一つがトイレです。水道が止まると、通常のトイレは使用できなくなります。簡易トイレや携帯トイレを、1人1日あたり5回分を目安に備蓄しましょう。


トイレットペーパー、ウェットティッシュ、消毒用アルコールなども必須です。さらに、感染症対策として、マスク、使い捨て手袋、体温計なども準備しておくべきでしょう。


女性従業員が多い職場では、生理用品の備蓄も忘れてはいけません。これらの衛生用品は、災害時の健康維持と感染症予防に直結する物資です

情報収集・通信機器

災害時の情報収集は、適切な判断と行動のために不可欠です。停電に備えて、電池式や手回し充電式のラジオを複数台用意しておきましょう。スマートフォンの充電用に、モバイルバッテリーも必要です。可能であれば、小型発電機や蓄電池システムの導入も検討すべきでしょう。


また、懐中電灯やランタンなどの照明器具も重要です。LEDタイプなら電池の持ちが良く、長時間の使用に適しています。


応急手当と常備薬の管理

災害時には、けが人が発生する可能性があります。救急箱を複数の場所に配置し、包帯、ガーゼ、絆創膏、消毒液などの基本的な救急用品を揃えます。


三角巾、副木、止血帯なども用意しておくと、より本格的な応急手当が可能になります。また、解熱鎮痛薬、胃腸薬、かぜ薬などの常備薬も必要です。


従業員の中に持病がある人がいる場合は、その情報を把握し、必要に応じて対応できる体制を整えておくことも大切です。AEDの設置と、使用方法の講習も併せて実施しておくこともお勧めします。


避難・安全確保用品

地震発生時の落下物から頭部を守るヘルメットは、全従業員分を用意することが理想的です。折りたたみ式のものなら、各自のデスクに保管できます。


防寒対策として、アルミブランケットや毛布も必要です。特に冬場の災害では、暖房が使えない中で体温を保つことが生命に関わります。1人1枚を基本として備蓄しましょう。


軍手、ロープ、ガムテープなども、様々な場面で活用できる重要な物資です。これらの避難・安全確保用品は、災害の初期段階で従業員の安全を守る最前線の装備となります。



業種別に考える防災グッズの選び方

業種によって必要な防災グッズや優先順位は異なります。それぞれの業種特性に応じた備蓄計画を立てることで、より実効性の高い防災対策が可能になります。


都市型災害への備え

都市部のオフィスビルでは、エレベーターの停止や交通機関の麻痺といった都市型災害特有の問題に対応する必要があります。


高層階のオフィスでは、階段での移動を想定した備蓄配置が重要です。各階に分散して備蓄し、エレベーターが使えない状況でも物資にアクセスできるようにします。


また、帰宅困難者対策として、宿泊を想定した備品も必要です。簡易ベッドや寝袋、着替えなども一定数用意しておくとよいでしょう。


現場作業員の安全対策

製造現場では、機械の緊急停止や危険物の処理など、特殊な対応が必要になります。作業服や安全靴のまま避難することを想定した備蓄計画が求められます。


ヘルメットや防塵マスクなどの保護具は、通常業務用とは別に災害用として備蓄します。また、工具類や応急修理用の資材も準備しておくと、設備の応急復旧に役立つでしょう。


化学物質を扱う工場では、中和剤や吸収材などの特殊な防災用品も必要です。これらは専門知識を持った担当者が選定し、適切に管理する必要があります。


顧客対応を含めた備蓄

店舗や施設では、従業員だけでなく来店客の安全も考慮する必要があります。営業時間中の災害発生を想定し、一定数の顧客分の備蓄も検討すべきです。


特に飲食店や宿泊施設では、既存の食材や備品を災害時に活用できる体制を整えることが重要でしょう。顧客向けの避難誘導用品として、メガホンや誘導灯、多言語対応の避難案内なども準備しておくとベターだと言えます。


特別な配慮が必要な備蓄品

医療機関や福祉施設では、患者や利用者の特性に応じた特殊な備蓄が必要です。医薬品や医療機器の予備、非常用電源の確保が優先事項となります。


介護が必要な利用者のために、おむつや介護用品の備蓄も欠かせません。また、流動食や療養食など、特別な食事への対応も必要です。


停電時でも生命維持装置が稼働できるよう、大容量の非常用電源や複数の電源確保手段を用意しておくことも求められます。



防災グッズの保管方法と管理のポイント

防災グッズの保管方法と管理のポイント

防災グッズは、ただ購入しておけばよいというものではありません。いざという時に確実に使用できるよう、適切な保管と管理が不可欠です。


保管場所の選定

備蓄品の保管場所は、災害時のアクセス性を最優先に選定します。1か所に集中させず、複数に分散することで、建物の一部が使用できなくなっても対応可能になります。


理想的なのは、各フロアや各部署に小規模な備蓄スペースを設け、さらに中央備蓄倉庫を設置する2段階の備蓄体制です。これにより、初動対応と長期対応の両方に対応できます。


保管場所は、水害のリスクが低い2階以上が望ましく、直射日光や高温多湿を避けられる環境を選びます。施錠管理しつつも、災害時には速やかにアクセスできる体制を整えることが重要です。


賞味期限・使用期限の管理

食料や水、医薬品などには使用期限があります。これらを効率的に管理する方法として、ローリングストック法があります。


ローリングストック法とは、備蓄品を定期的に消費しながら、消費した分を新しく補充する方法です。これにより、常に新しい備蓄品を保持でき、期限切れによる廃棄を防げます。


管理表を作成し、各品目の期限を一覧で把握できるようにします。期限の3か月前にアラートを設定し、計画的な入れ替えを行います。入れ替えた食料は、社内イベントや研修時に活用することで、無駄を省けます。


定期点検とメンテナンス

防災グッズは、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。


点検項目をチェックリスト化し、数量確認、期限確認、動作確認を行います。特に、懐中電灯やラジオなどの電気製品は、電池の液漏れや動作不良がないか確認します。


点検結果は記録として残し、不足品や不良品があれば速やかに補充・交換します。この定期点検を防災訓練と組み合わせることで、従業員の防災意識向上にもつながるでしょう。


防災訓練との連携

備蓄品の管理は、防災訓練と連携させることで実効性が高まります。訓練時に実際の備蓄品を使用することで、使い方を習得し、問題点を発見できます。


例えば、簡易トイレの組み立て訓練や、非常食の試食会を実施することで、災害時の対応力が向上します。また、備蓄品の場所や使用方法を従業員に周知する良い機会にもなるでしょう。


訓練後は必ずフィードバックを収集し、備蓄計画の改善に活かします。従業員からの意見を反映することで、より実用的な防災体制を構築できます。



防災グッズ選定時のチェックポイント

防災グッズ選定時のチェックポイント

防災グッズを選定する際は、価格だけでなく、品質やサービスなど総合的な観点から判断することが重要です。ここでは、失敗しないための5つのポイントを解説します。


メーカー・ブランドの実績確認

防災グッズは、いざという時に確実に機能することが求められます。そのため、信頼できるメーカーやブランドから購入することが大切です。


実績の確認方法として、導入事例や顧客の声をチェックすることが有効です。特に、同業他社や同規模企業での導入実績があれば、参考になります。


また、防災関連の認証や規格に適合している製品を選ぶことも重要です。日本防災協会の認定品などは、一定の品質が保証されています。

 

企業ニーズへの対応力

企業によって必要な防災グッズは異なります。画一的なセット商品ではなく、自社のニーズに応じてカスタマイズできる柔軟性が重要です。


従業員の年齢構成や性別比率、アレルギー保有者の有無など、自社の特性に応じた商品選定ができるかを確認します。また、数量の調整や品目の入れ替えが可能かも重要なポイントです。


将来的な従業員数の増減にも対応できるよう、追加購入や部分的な更新が容易にできる体制があることも確認しておきましょう。


更新・補充のサポート体制

防災グッズは購入して終わりではなく、継続的な管理が求められます。そのため、充実したアフターサービスを提供している企業を選ぶことが重要です。


期限管理のサポートや、更新時期の通知サービスがあると管理負担が軽減されます。また、部分的な補充や交換に柔軟に対応してくれることも大切です。


品質と価格のバランス

防災グッズの選定において、価格は重要な要素ですが、安さだけで選ぶことは避けるべきでしょう。品質と価格のバランスを適切に評価することが大切です。


初期費用だけでなく、製品の耐用年数や更新頻度を考慮したトータルコストで比較します。安価でも頻繁に交換が必要な製品より、多少高額でも長期間使用できる製品の方が、結果的に経済的な場合があります。


また、セット購入による割引や、大量購入時の特別価格なども確認し、最適な購入方法を検討することが重要です。



今すぐできることから防災対策を始めよう

企業の防災対策は、従業員の生命を守り、事業を継続するための重要な投資です。本記事で解説した内容を踏まえ、まず現状の防災体制を点検することから始めましょう。


最初のステップとして、自社に必要な防災グッズのリストアップを行います。従業員数、業種特性、立地条件などを考慮し、優先順位をつけて計画を立てることが大切です。すべてを一度に揃える必要はありません。段階的な整備計画を立て、確実に実行していくことが重要です。


次に、備蓄場所の確保と管理体制の構築を進めます。防災担当者を明確にし、定期的な点検と更新のスケジュールを決めておきます。また、従業員への周知と訓練も欠かせません。備蓄品の場所や使用方法を全員が理解していることで、災害時の混乱を最小限に抑えることができます。


防災グッズの選定にあたっては、本記事で紹介したチェックポイントを参考に、信頼できる供給元を選ぶことが大切です。価格だけでなく、品質、サービス、実績を総合的に評価し、自社に最適なパートナーを見つけましょう。


防災対策は、一度整備すれば終わりではありません。定期的な見直しと改善を続けることで、より実効性の高い体制を構築できます。従業員の意見を取り入れながら、継続的にブラッシュアップしていくことが大切です。


災害はいつ起こるか分かりません。明日かもしれない災害に備えて、今すぐ行動を起こすことが、企業と従業員を守る第一歩となります。完璧を求めすぎず、できることから着実に進めていきましょう。


<参考記事>

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