オフィスの防災備蓄はどこに置く?最適な保管場所の選び方と省スペースの工夫を解説
- 18 時間前
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「防災備蓄品を用意したけれど、オフィスのどこに置けばいいのかわからない」「スペースが足りず倉庫の奥に押し込んだまま」。そのようなお悩みを抱えていませんか。せっかく備蓄品を揃えても、保管場所の選び方を間違えると災害時に取り出せず意味がなくなってしまいます。
そこで本記事ではオフィスの防災備蓄に最適な保管場所の候補から選定基準、省スペースの工夫、管理運用のポイントまで網羅的に解説します。
なぜオフィスに防災備蓄品の「保管場所」が重要なのか
防災備蓄品は「何を揃えるか」だけでなく「どこに置くか」で価値が大きく変わります。ここでは保管場所がなぜ重要なのか、その背景を確認しておきましょう。
企業に防災備蓄が求められる背景
東日本大震災では首都圏で約515万人の帰宅困難者が発生しました。この教訓を踏まえ東京都は2013年に帰宅困難者対策条例を施行しています。条例では事業者に対し従業員の3日分の水や食料、簡易トイレなどを備蓄する努力義務を定めました。
内閣府の「事業所における帰宅困難者等対策ガイドライン」でも同様の備蓄が推奨されており、全国の企業にとって防災備蓄は避けて通れないテーマとなっています。
備蓄があっても「使えない」リスクとは
備蓄品を用意しただけで安心してしまうケースは少なくありません。しかし保管場所の選定を誤ると、いざという時に使えないリスクが生じます。
たとえば2019年の台風19号では仙台市の備蓄倉庫が浸水し、備蓄品の一部が使用不能になったこともありました。倉庫の奥に段ボールを積み上げたまま放置すれば、荷崩れで取り出すだけでも大変な労力がかかるでしょう。保管場所を正しく選ぶことこそが備蓄品の実効性を左右するのです。
オフィスにおける防災備蓄品の最適な保管場所7選

では具体的にオフィスのどこに防災備蓄品を保管すればよいのでしょうか。7つの保管場所候補を紹介します。
各フロアの収納棚やキャビネット
飲料水や応急処置セット、毛布などの緊急度が高い備蓄品にはフロアごとのキャビネット保管が最適です。各フロアに分散させておくことで特定フロアだけ備蓄品が不足する事態を防げます。キャビネットの外面にはステッカーで内容物一覧を掲示しておくと、担当者不在でも迅速に取り出せるでしょう。
会議室や応接室の空きスペース
会議室や応接室にはテーブル下や壁面沿いに空きスペースがあることも多いものです。来訪者への配慮として応接室にも備蓄品を置いておけば、顧客や取引先分の備蓄としても機能します。
内閣府のガイドラインでは施設利用者分として10%の上乗せが推奨されており、来訪者対応の備蓄は共助の観点からも重要です。
従業員デスク周り
防災用ヘルメットや個人用の非常食セットなど初動対応品はデスク周りが最適な保管場所となります。引き出しや足元に収納すれば発災直後にすぐ手に取ることが可能です。
折りたたみ式ヘルメットであればA4サイズ程度に収まるため、デスクの引き出しにも無理なく保管できるでしょう。マグネット式フックでデスク横に吊り下げる方法も省スペースに有効です。
オフィス内のデッドスペース
コピー機の横や什器の隙間、天袋収納など見落としがちなデッドスペースも活用できます。省スペース型の備蓄収納什器を使えば、幅900mm程度のスペースに数十人分の初日分備蓄を収めることも可能です。
ファミレス席タイプのベンチ座面を収納として利用する方法も、オフィスのレイアウトを変えずに保管場所を確保できる工夫として注目されています。
倉庫や空き部屋
2日目以降に使う保存水の大容量ボトルやかさばる衛生用品は、倉庫や空き部屋での保管が現実的な選択肢となります。ただし倉庫に一括保管する場合は被災時にアクセスできなくなるリスクに注意してください。執務フロアにも初日分の備蓄を確保したうえで、残りを倉庫に保管する運用が望ましいでしょう。
エントランスや休憩室の付近
日常的に多くの従業員が行き来するエントランスや休憩室の近くも有力な候補となります。人目につく場所であれば保管場所の周知が自然に進む効果が期待できるためです。給湯室付近には水の備蓄を置いておくと、平時のローリングストックとも連携しやすくなるでしょう。
屋外の防災倉庫やコンテナ
オフィス敷地内に屋外型の防災倉庫やコンテナを設置する方法もあります。大量の備蓄品を一度に保管でき、オフィススペースを圧迫しない点が大きなメリットです。一方で浸水リスクや夏場の温度上昇による食品劣化には注意が必要となるため、設置場所のハザードマップを事前に確認しておきましょう。
保管場所を決める前に知っておくべき5つの選定基準
保管場所の候補が見えてきたら、次に押さえるべきは選定の基準です。どの候補を選ぶにしても以下の5つの基準を満たしているか確認してください。
災害時にすぐ取り出せるか
最も重要なのはアクセス性です。地震発生後はエレベーターが停止する可能性があり、階段での搬出を前提に考える必要があります。オフィスと異なるフロアに保管する場合は、重い保存水を階段で運ぶ負担を想定しておくべきでしょう。保管場所からオフィスへの動線に段差や狭い通路がないかも事前にチェックしてください。
全従業員に保管場所が周知されているか
防災担当者だけが保管場所を知っている状態は危険です。担当者が出張中や被災して動けない場合に備蓄品を誰も見つけられない事態が起こり得ます。フロアマップへの表示やイントラネットでの共有、定期的な防災訓練による周知が欠かせないでしょう。備蓄品の「見える化」は災害時の初動スピードに直結します。
温度や湿度、直射日光の影響を受けないか
保存水や非常食などは高温多湿の環境だと劣化が早まります。直射日光が当たる窓際は避けるのが鉄則です。やむを得ず湿気の多い場所に保管する場合はパレットや棚の上に置き、乾燥剤を併用するなどの対策を講じましょう。空調が効いた室内であれば保管環境として理想的です。
浸水や倒壊のリスクがないか
大雨や台風による水害で浸水する恐れがある場所は避けるべきです。特に地下や1階部分への保管はハザードマップとの照合が不可欠となります。また地震で棚や什器が転倒し備蓄品にアクセスできなくなるリスクもあるため、転倒防止対策を施した場所を選ぶことが重要です。
消防法や避難通路を妨げないか
防災備蓄品の段ボールが通路を塞いでしまうと本末転倒です。消防法では避難通路の確保が義務づけられており、スプリンクラーや火災報知器の機能を妨げる位置への設置も消防署から指導を受ける可能性があります。保管場所の選定時には避難経路の幅を確認し、法令に抵触しない配置を心がけてください。
「スペースがない」を解決する分散備蓄の考え方

「保管場所の候補はわかったが、まとまったスペースを確保できない」という企業は多いのではないでしょうか。そんな悩みを解消するのが分散備蓄という考え方です。
分散備蓄とは何か
分散備蓄とは備蓄品を1箇所に集約せず複数の場所に分けて保管する方法を指します。1箇所に集中させると、その場所が被災した時点で全ての備蓄品を失うリスクが生じるからです。
複数箇所に分散させれば、どれかが使えなくなっても他の場所から物資を確保できます。リスク分散の観点から国や自治体のガイドラインでも推奨している手法です。
時間軸で分ける「フェーズ別分散」が効果的
分散備蓄をさらに効果的にするのがフェーズ別の配置計画です。災害発生からの時間経過に合わせて必要な物資と保管場所を整理しましょう。
発災直後(0から数時間)
ヘルメットや懐中電灯、応急処置セットなど最初に必要となるものは従業員の手の届く場所に置いておきます。デスクの引き出しや足元、フロアの共有キャビネットが適した保管場所となるでしょう。
発災当日から1日目
被災当日分の飲料水や非常食、簡易トイレは各フロアのキャビネットに分散させておくのが基本です。停電でエレベーターが動かない状況でも、同じフロア内で配布が完結するため混乱を最小限に抑えられます。
2日目以降
2日目以降に必要な大量の保存水や追加食料、衛生用品は倉庫や屋外の防災倉庫にまとめて保管しておきましょう。発災から時間が経てば状況が落ち着き始めるため、倉庫への移動も現実的になるでしょう。
フリーアドレスオフィスでの工夫
固定席のないフリーアドレスオフィスでは個人のデスクに備蓄品を置けないという課題が生じます。この場合はオフィスチェアに帰宅支援キットを取り付ける方法が有効です。在籍人数とチェアの数が一致していれば在庫管理もしやすくなるでしょう。
また省スペース型の収納什器を執務エリア内に設置し、誰でも中身がわかるようデザインされた備蓄収納を活用する方法も有効です。
保管場所が決まったら押さえたい管理運用のポイント

保管場所を確保しただけでは防災備蓄の運用は完了しません。日常的な管理を怠ると、いざという時に備蓄品が使えないという事態を招きかねないためです。ここでは6つの管理運用ポイントを確認しましょう。
段ボール外面への内容物と賞味期限の明記
保管している段ボールには中身を開けなくても内容物がわかるよう品名と数量を記載しておきます。非常食については賞味期限も必ず併記してください。誰が見ても一目でわかる状態にしておくことが災害時の迅速な配布につながります。
ローリングストックで期限切れを防ぐ
賞味期限が近づいた備蓄品を日常的に消費し新しいものを補充する「ローリングストック」は期限切れによる大量廃棄を防ぐ仕組みとして活用されています。社内の防災イベントや休憩室での試食会と組み合わせれば、従業員の防災意識向上にも役立つでしょう。フードバンクへの寄付を組み込む運用も食品ロス削減と社会貢献の両立につながります。
搬出用の台車や運搬手段の確保
保存水のケースは1箱あたり10kg以上になることも珍しくありません。保管場所の近くに台車やキャリーを常備しておけば、搬出作業の負担を大幅に軽減できます。通路の幅が台車の通行に十分かどうかも事前に確認しておきましょう。
定期的な棚卸しと備蓄品リストの更新
定期的に備蓄品の棚卸しを行い、数量の過不足や品質の劣化がないか確認する必要があります。従業員数の増減に合わせてリストを更新し、常に最新の状態を維持することをおすすめします。
積み方の工夫で荷崩れを防止する
段ボールを保管する際は重いものを下段に配置し、交互にずらして積み上げる「回し積み」が効果的です。過剰に積み上げると荷崩れや下段の潰れにつながるため、高くなりすぎないようにしましょう。棚にはロープや網をかけて落下防止対策を施すと安心です。
防災訓練で保管場所を全従業員に周知する
年1回以上の防災訓練を実施し保管場所を全従業員に周知してください。新入社員や中途入社者にも忘れずに共有することが大切です。訓練で実際に備蓄品を取り出す作業を行えば、動線上の問題点を事前に発見できるでしょう。
オフィスの防災備蓄でよくある失敗と対策
防災備蓄の保管場所に関しては多くの企業が同じような失敗を経験しています。ここでは代表的な失敗パターンとその対策を見ていきましょう。
倉庫の奥にしまって忘れてしまう
普段使わない倉庫に保管すると存在自体を忘れがちです。対策としては執務フロアの目につく場所にも一部を配置し、倉庫分は棚卸しスケジュールをカレンダーに登録しておく方法が有効です。
1箇所に集中保管して被災時に全滅する
コスト意識から1箇所にまとめたくなる気持ちは理解できます。しかしその場所が被災すれば全ての備蓄品を失うことになりかねません。最低でも「執務フロア」と「倉庫」の2箇所以上に分散させることをおすすめします。
賞味期限切れに気づかず大量廃棄する
長期保存食であっても5年から7年で賞味期限を迎えます。期限管理の仕組みがないまま放置すると大量の廃棄につながり、コスト面でも無駄が生じるでしょう。ローリングストックの導入や管理代行サービスの活用を検討してみてください。賞味期限をスプレッドシートで管理し、半年前に通知が届く仕組みなどを作ることも有効です。
消防法に抵触する置き方をしてしまう
備蓄品の段ボールが避難通路を塞いだり、スプリンクラーの散水範囲を遮ったりすると消防署からの指導対象になる場合があります。保管レイアウトを決める際は消防法の基準を確認し、必要に応じて管轄の消防署に相談すると安心です。
備蓄品はあるが従業員が保管場所を知らない
防災担当者しか保管場所を把握していないケースは意外に多く見られます。フロアマップへの表示と定期的な訓練を通じて全従業員に情報を行き渡らせることが不可欠です。
3つのポイントを押さえ、防災備蓄を有効活用しよう
オフィスの防災備蓄品は「何を揃えるか」と同じくらい「どこに保管するか」が重要です。本記事の内容を振り返ると、押さえるべきポイントは3つに集約されます。
1つ目は備蓄品を1箇所に集めず複数箇所に分散配置することです。被災リスクを分散し、どの場所からでも物資を確保できる体制が理想となります。
次が保管場所の「見える化」を徹底することです。フロアマップへの表示や段ボールへのラベリング、定期的な防災訓練を通じて全従業員が保管場所を把握している状態を維持しましょう。
最後がフェーズ別に保管場所を整理することです。発災直後に必要なものはデスク周りに、当日分はフロア内に、2日目以降の分は倉庫にと時間軸で分けて配置すれば限られたスペースでも効率的な備蓄運用が実現できます。
自社のオフィス環境に合った最適な保管場所がわからない場合は、ぜひPREPROにご相談ください。建物の特性やオフィスレイアウトを踏まえた備蓄計画の作成、限られたスペースを最大限に活かした保管体制の構築までトータルでサポートします。




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